プロビデントファンドについて

プロビデントファンドとは?
プロビデントファンドとは、企業と従業員の間で任意加入希望者向けに設立されたファンドのことであり、従業員が、離職、退職、病気、死亡などの場合の資金源となるものです。プロビデントファンドは、「プロビデントファンド法」に基づき、タイ政府が規制しており、プロビデントファンドにおける従業員が持つ権利は、「プロビデントファンド法」により保障されています。
 
「プロビデントファンド法」は、従業員の資産促進および将来の財産形成制度を強化するとともに、国の財政安定を図る強固な基盤を構築することを目的として制定されています。
 
プロビデントファンドは法人格を有しますが、設立企業とは別の法人格を有します。プロビデントファンドの運用は運用会社が行い、ファンドの運営は、選挙もしくは任命されたファンド委員会のメンバーが行います。プロビデントファンド法の所轄官庁はタイのSEC(The Securities and Exchange Commission)であり、SECが、プロビデントファンドの運用を行う、運用会社の管理監督を行っております。
プロビデントファンドの概要
プロビデントファンドの主要ポイントは以下の通りです。
  1. プロビデントファンドの定款において定義された従業員の賃金の2~15%が、「従業員拠出金」となります。この拠出は毎月実施されるものであり、拠出金の比率については、従業員の同意に基づき決定されます。
  2. 企業も、従業員の賃金の2~15%を拠出し、、当該部分が「企業拠出金」となります。この拠出割合は、プロビデントファンドの定款において定義されている、従業員の雇用契約の条件・内容、プロビデントファンド加入者の加入継続年数等で決定されます。
  3. 「従業員拠出金」から発生した投資損益は、「従業員拠出金の投資損益」とよばれます。
  4. 「企業拠出金」から発生した投資損益は、「企業拠出金の投資損益」とよばれます。
プロビデントファンドのタイプ
プロビデントファンドのタイプは以下に分類されます。
1. シングルポリシーのファンド
1.1「シングルファンド」とは、単一企業により設立されたプロビデントファンドを指します。通常、プロビデントファンドの規模は大きく、そのファンド委員会が決める、プロビデントファンドの投資方針は、プロビデントファンドを設定した企業の経営政策と一致することが一般的です。
1.2「合同運用ファンド」とは、同じ投資方針を持つ2つ以上の企業によって設立されたプロビデントファンドを指します。「合同運用ファンド」は小中規模の企業、新規設立の企業、従業員が小規模の企業に適しているプロビデントファンドです。合同運用ファンドは、コスト低下を可能とし、かつ合同運用による規模メリットを生かした投資機会が広がり、高い利回りを期待することできます。
2. マルチポリシーファンド
2.1「マスターシングルファンド」とは、一般的に、事業規模の大きい単一企業により設立されますが、「シングルファンド」との違いは、ファンド委員会が、複数の投資方針を採用することが「シングルファンド」との相違点です。
2.2「マスター合同運用ファンド」とは、2社以上の企業で設立され、複数の投資方針を採用するプロビデントファンドを指し、プロビデントファンドの投資に柔軟性を持たせたい企業に、「マスター合同運用ファンド」は適しています。複数の投資方針がされている「マスターの合同運用ファンド」の加入者は、投資を開始する際、投資の選択肢を複数から、投資方針を決定することができます。
プロビデントファンドの設立
プロビデントファンドの設立を行う企業と従業員は以下のプロセスを踏みます。
プロビデントファンドの関係者
プロビデントファンド設立後のファンドの管理・運用担当者は以下の通りです。
費用
税恩典
  • 企業側の税恩典
    企業は「企業拠出金」の拠出を行った会計期間内において、費用計上することができます。
  • 従業員側の税恩典
    従業員は、以下の通りプロビデントファンドの加入期間に応じて、税恩典を受けることができます。

給付の支払い方法に応じて、以下の3つの税恩典を受ける方法があります。

注)税金の計算を行うために設定している勤続年数は、企業から離職した時点を前提としています。企業から離職し、プロビデントファンドから脱退する場合、上記勤続年数は参考となりません。また給付の支払いは、税金計算対象期間の全収入を考慮する必要があります。